衛星砂防学研究会

この研究会は, 平成22-24年度砂防学会公募研究会の助成を受けております。

入会をご希望の方は, 世話人(奈佐原; nasahara.kenlo.gw at u.tsukuba.ac.jp)までご連絡下さい。

コンテンツ:



研究目的と成果の目標(申請書より)

 衛星リモートセンシングは、土砂災害の様子や発生場の状況・条件を把握するために有用な手法である。とりわけ、安全性やアクセシビリティの観点から地上踏査や航空測量などが困難な現場では威力を発揮する。また、人工衛星は広域を自動的・定期的に観測するので、長期間・広域の変化履歴を把握するのに適している。

 しかしながら、衛星リモートセンシングを砂防学に応用するには、克服すべき障害がいくつかある。その最大のものは、雲被覆の問題である。可視光・赤外光を使う光学センサーは、地表が雲に覆われていると、人工衛星から地表を観測することはできない。土砂災害の多くは降雨によって起きるので、雲の多い悪天候で使えないのは困る。また、衛星搭載センサーの空間分解能は、観測頻度とトレード・オフの関係にあるために、細かいスケールの地表の変動を衛星で頻繁に観測することは難しい。さらに、衛星センサーで得られた電磁気的な情報を、地表の環境やその変化として直接的に解釈することは難しい。

 従って、衛星リモートセンシングを砂防学に応用するには、砂防学の中の個々の課題に即して、様々な衛星センサーを「賢く使う」ことが重要である。そのためには、衛星リモートセンシングの専門家と、砂防学の専門家が、基礎知識を共有し、協力してアイデアや知見を積み上げるのが重要だと考えられる。幸い、我が国は、長年の砂防学の蓄積と高い研究レベルを持つ一方、自前で人工衛星を設計・開発し、打ち上げ、運用する能力を持つ、世界でも数少ない国のひとつである。

 そこで本研究では、衛星リモートセンシングを使う砂防学を「衛星砂防学」と呼んで、砂防学と衛星リモートセンシングのそれぞれの専門家がコミュニティを作り、以下の4点を検討する:

1. これまでの人工衛星の、砂防学への応用例とその有効性。

2. 今後の衛星砂防学の研究開発指針。

3. 衛星砂防学にとって有用な将来の人工衛星の概要。

4. 衛星砂防学の教育・訓練。

研究計画(申請書より)

平成22年度: 研究会を立ち上げる。既に、本研究の共同研究者を中心とした「ALOS土砂災害研究グループ(仮称)」が立ち上がっており、これをもとに、衛星砂防学に関わりのある研究者・実務家を募って、「衛星砂防学研究会」とする。メーリングリストを立ち上げ、会員相互の理解を深めるとともに、衛星砂防学に関する既往研究・関連ニュース等の情報を共有する。砂防学のコミュニティで行われている衛星砂防学関連の話題をとりまとめて、「日本リモートセンシング学会誌」や「写真測量とリモートセンシング」のようなリモートセンシング系の雑誌に紹介する一方、JAXAや土研・国総研、RESTEC、経産省、国土地理院などを中心とする、衛星リモートセンシングのコミュニティで行われている衛星砂防学関連の話題を「砂防学会誌」に紹介する。また、JAXAの将来衛星の計画において、砂防学への応用に資する提言を行う。

平成23年度: 前年度の活動を継続する一方、大学の講義や公開講座などの場で、衛星砂防学に関する基礎知識の教育普及を行う。この過程で、衛星砂防学研究会から、重要な話題を集め、整理・編集して、衛星砂防学に関する教育素材として整備し、公開する。衛星リモートセンシングと砂防学の両方について、確固たる基礎知識をもつような、若い学生・技術者を育成することは、衛星砂防学の持続的な発展において、最も重要である。

平成24年度: 前年度の活動を継続し、衛星砂防学のコミュニティを拡大・充実させる。衛星砂防学研究会の活動総括を、学会誌に報告する。

研究成果の公表方法(申請書より)

随時、研究集会や講演会を行う。その告知は、砂防学会メーリングリストで行う。研究会の成果は、砂防学会誌等に発表する。教育コンテンツなどは、インターネットで公開する。


履歴