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予定と履歴

趣旨など .... リモセン虎の穴

過去の履歴

予定・今年の発表履歴

発表者募集中!!
2017年度
4月4日 17:30-19:00 奈佐原顕郎(筑波大) 
4月11日 17:30-19:00 ハブラー(国環研)
4月18日 17:30-19:00 小出大(国環研)
4月25日 EGU(4/23~28)に合流 
5月2日 GW休み 
5月9日 17:30-19:00 井手玲子(国環研)
5月16日 17:30-19:00 池上真木彦(国環研)
5月23日 JpGU(5/20~25)に合流 
5月30日 17:30-19:00 秋津朋子(筑波大)
6月6日 お休み 
6月13日 17:30-19:00 阿部博哉(国環研)
6月20日 17:30-19:00 石橋聖也(筑波大)
6月27日 17:30-19:00 中田貴子(筑波大)
7月4日 17:30-19:00 野田響(国環研)
7月11日 お休み 
7月18日 17:30-19:00 押尾晴樹(国環研)
7月25日 お休み 
8月1日 17:30-19:00 藤田知洋(国環研)
8月8日 17:30-19:00 竹内やよい(国環研)
8月15日 お盆休み 
8月22日 17:30-19:00 小黒芳生(森林総研)
8月29日 17:30-19:00 赤路康朗(国環研)
9月5日 17:30-19:00 中河嘉明(国環研)
9月12日 お休み 
9月19日 お休み 
9月26日 17:30-19:00 長谷川瞬(国環研)
10月3日 17:30-19:00 片木仁(筑波大)
10月10日 17:30-19:00 森英樹(筑波大)
10月17日 17:30-19:00 
10月24日 17:30-19:00 
10月31日 気象学会(10/30~11/2)に合流 
11月7日 17:30-19:00 
11月14日 17:30-19:00 志知幸治(森林総研)
11月21日 日本リモートセンシング学会(11/21~22)に合流 
11月28日 17:30-19:00 
12月5日 17:30-19:00 
12月12日 AGU(12/11~15)に合流 
12月19日 17:30-19:00 
12月26日 年度末休み 

ISRS(5/17~19)
地理学会(9/29~10/1)
気象学会(10/30~11/2)
日本リモートセンシング学会(11/21~22)
AGU(12/11~15)
地理学会(3/22~24)
生態学会
森林学会

2016年度
1月3日 年始休み
1月10日 17:30-19:00 胡暁星(筑波大)
1月17日 17:30-19:00 濱侃(千葉大)
1月24日 17:30-19:00 佐久間東陽(茨城大)
1月31日 17:30-19:00 川瀬宏明(気象研)
2月7日 17:30-19:00 神慶孝(国環研)
2月14日 17:30-19:00 岡本芽生(千葉大)
2月21日 17:30-19:00 保科優(国環研)
2月28日 15:00-16:30 今田由紀子(気象研)
3月7日 17:30-19:00 小林慶子(国環研)
3月14日 日本生態学会(3/14~18)に合流
3月21日 17:30-19:00 秋津朋子(筑波大)
3月28日 日本森林学会(3/26~29)、日本農業気象学会(3/27~30)、日本地理学会(3/28~30)に合流

2017年10月3日 17:30-19:00

発表者:片木仁(筑波大)

  • タイトル:多時期土地被覆情報データセット“SACLAJ”のための再撮影アプリ開発
  • 概要:土地利用・土地被覆は時間と共に変化するため、多時期の地上検証情報を整備することが土地被覆研究に重要である。JAXA生態系グループはこれまで多時期土地被覆情報データセット”SACLAJ"を開発・運用してきた。SACLAJは現地に赴いて写真を撮影し、その土地被覆カテゴリが何かを撮影者が判読し登録する土地被覆検証データセットであり、現在までに約5万4千点の地上検証情報を収集してきた。しかし全地点数53875点に対し、再撮影地点(同一地点で複数時期で撮影された地点)は215点と、未だ少ない。これはどこが過去に撮影された地点かが現地では確認しづらく、また同一地点からカメラで同じように撮影するのは難しいためである。そこで、この問題を解決するためには再撮影アプリが有用であると考えた。弊研究室で開発してきた再撮影アプリ (Androidアプリ) を拡張しSACLAJと連携することにより、同一地点の多時期データ収集の促進を実現する。具体的には再撮影機能を持ったアプリに、新たに以下の機能を実装した(または実装する予定である)、ヾに登録してある地点を地図に表示、および、その地点にナビゲーションする機能、∋1童紂△修両譴SACLAJ用の登録情報(土地被覆カテゴリ、土地被覆サイズ等)を付加する機能。開発はAndroid Studioで行い、プログラミング言語はJavaを用いた。本発表では現時点までに実装した機能の紹介およびAndroidプログラミングを行う上での課題を述べる。

2017年9月26日 17:30-19:00

発表者:長谷川 瞬(国環研)

  • タイトル:Investigation into the effects of elevated CO2 on soil nutrient cycling and an understorey plant community in a Eucalyptus woodland
  • 概要:Despite the geographic and economic importance of native Australian Eucalyptus woodlands, relatively little is known about their responses to predicted increases in atmospheric CO2 concentrations. The generally low nutrient status of Australian ecosystems suggests that nitrogen (N) or, in particular, phosphorus (P) -limitation could constrain plant responses to elevated CO2 (eCO2). Three ambient and three eCO2 (+150 ppm) FACE (free-air CO2 enrichment) rings were installed in a P-limited, mature Cumberland Plain Eucalyptus woodland (EucFACE) in which I explored the effects of eCO2 on 1) soil N and P availability, pool size, turnover rates and leaching losses and also dissolved organic carbon (DOC) in soil water and on 2) the understorey plant community. Elevated CO2 generally showed positive effects on soil nutrient availability, with a strong seasonality, particularly for phosphate. This resulted in a relatively greater stimulation in available P, compared to N, under eCO2 in spring and summer. Furthermore, eCO2 significantly influenced the graminoid community, with decreased diversity, species richness and abundance of C4 species. The ratio of C4:C3 graminoids was negatively associated with soil N availability, and was 60% lower under eCO2 compared to ambient, likely due to eCO2-increased N availability. The shift towards lower C4:C3 ratios could further change soil nutrient availability and potentially accelerate the community succession. Thus, eCO2 concentrations have altered soil nutrient availability, and the diversity and composition of the understorey plant community in this woodland, with the potential for cascading consequences for trophic interactions and ecosystem function.

2017年9月19日

  • モデレータ不在のため、お休みとします。

2017年9月12日

  • モデレータ不在のため、お休みとします。

2017年9月5日 17:30-19:00

発表者:中河嘉明(国環研)

  • タイトル:植物生態学の数理モデルの総合における問題
  • 概要:植物生態学(植物生理生態学・個体群生態学・生態系生態学)の数理モデルを総合したモデルを作る上での問題を論じる。このようなモデルは気候変動をシミュレートする際の植生の応答を計算するために重要である。従来、このようなモデルでは、水平方向の植物個体(或いは、それらの葉群)の分布が均質であるという平均場仮定が適用されてきた。この仮定は植物個体が均質に分布する農耕地などでは特に問題ないが、森林などでは植物個体が不均質に分布し個体間相互作用するため不適切であることが、特に植物個体群モデルの研究で知られている。それでは平均場仮定を排して、空間明示型のモデルを使えば良いかといえば、計算量が膨大になるため、植生動態モデルなどの広い植生エリアの計算をする場合には不適である。上記の問題を踏まえ、計算量を爆発させない平均場仮定をゆるめた植物生態学の総合モデルについて論じる。

2017年8月29日 17:30-19:00

発表者:赤路康朗(国環研)

  • タイトル:地形要因がブナの生残と成長に与える影響
  • 概要:日本の森林はしばしば急峻な傾斜地に分布し、また、大小様々な空間スケールにおける地形の起伏上に成立している。傾斜角度や地形の起伏といった地形特性は樹木の空間分布や生残・成長に影響を与えていると考えられるが、このような地形要因が与える影響について複数の生育段階を用いて解析した研究は限られている。そこで本研究では、まず、ブナとホオノキが優占する林分において、胸高直径4cm以上のブナおよびホオノキの生残と成長に対して地形要因が与える影響を解析した結果を紹介し、次に、ブナの実生段階を対象として解析した結果を紹介する。最後にこれらの結果から、ブナ個体群の動態およびブナとホオノキの共存における地形要因の役割について考察する。

2017年8月22日 17:30-19:00

発表者:小黒芳生(森林総研)

  • タイトル:植物好きはどこにいる? 〜 Twitterを使った植物への関心の地図化
  • 概要:人間生活は生態系サービスに依存しているが、人間活動の影響により、多くの生態系サービスは劣化している。生態系サービスの空間分布を可視化するため、さまざまなサービスの地図化が行われてきたが、文化的サービス、特に観光的価値以外を地図化した研究は少ない。そこでTwitterデータを用い、植物がインターネット上の発言を豊かにするサービスを地図化した。2013年10月から2017年1月まで、植物名が含まれ位置情報が付与されているTweet、位置情報が付与されているその他のTweetを取得した。これらのデータを1kmメッシュ単位で集計し、日本全国を対象にTweet数あたりの植物出現頻度を地図化した。さらにメッシュごとの出現種数・在来種数・栽培種数・外来種数と、周囲の土地利用・メッシュ内でのTweet数との関係を解析した。植物名が含まれるTweetの割合の空間分布は都市部で少し高いように見えたが、はっきりした傾向は見られなかった。Tweetに現れる種数はTweet数が多いほど上昇したが、在来種数はこの傾向が弱かった。また、Tweetに出現する植物の割合は市街地で高くなる傾向が見られた。この結果は都市に住んでいる人ほど、植物に関する関心が高いことを表しているのかもしれない。

2017年8月15日

  • お盆休み

2017年8月8日 17:30-19:00

発表者:竹内やよい(国環研)

  • タイトル:UAV-SfMによる林冠構造の解析
  • 概要:本研究は、熱帯地域における生物多様性の広域評価に向け、生物多様性に関連した林冠の複雑性を表す指標を開発することを目的とする。調査サイトであるマレーシア熱帯林パソ保護林をUAVで撮影し、複数の画像から対象物の3D形状を復元する Structure from Motion (SfM)技術に基づき林冠3D構造モデルを生成した。本発表では、UAV-SfMによる林冠構造の解析、林冠構造と生物多様性との関連性の解析の結果について途中経過を報告する。(関連サイト:http://www.nies.go.jp/biology/research/frame/pasoh.html

2017年8月1日 17:30-19:00

発表者:藤田知弘(国環研)

  • タイトル:野火発生抑制がサバンナにおける熱帯林種の定着を可能とする
  • 概要:近年,熱帯林とサバンナが隣接する地域では熱帯林の拡大が報告されている.熱帯林の拡大メカニズムとして, “Nucleation”と呼ばれるものがある.Nucleationとはサバンナに生育する樹木を“核”として,非連続的にパッチ状の熱帯林が形成され,その後,放射状に拡大していく現象を指す.Nucleationでは,“核”木による定着過程における促進効果が重要とされてきた.しかし,具体的なメカニズムについては実証的な研究はこれまでおこなわれていない.本研究では,Nucleation過程における促進効果の解明を目的にアフリカ東南部マラウィ共和国北部ビプヤ高地で調査を実施した.本調査地にはサバンナ内にパッチ状の熱帯林が存在し,その中心部付近にはイチジクのなかま(Ficus natalensis)の大径木が特徴的に生育している.このような植生構造はNucleationによって形成された熱帯林パッチの典型例である.そこで本研究ではFicus n.をパッチ状の熱帯林形成の始点(核木)と仮定した.Ficus n. 樹冠下・サバンナ優占種樹冠下・オープン(樹冠なし)に熱帯林の主要構成種であるSyzygium guineense ssp. afromontanum (フトモモ科.以下,Syzygium)の実生を移植し,生存率を3年間記録した.オープンにおける実生の生存率は樹冠下に比べて1/6程度であった.これはサバンナ内での熱帯林樹種の定着に促進効果が不可欠であることを示唆する.そこで,促進効果のメカニズムを明らかにするため,Syzygium実生の枯死原因を分析した.3年間の調査の結果,火の影響(枯死原因が特定できた個体の55%)が最多で,乾燥がこれに続いた.火による枯死は草本被覆率が高い(=可燃物量が多い)オープンに集中していた.一方,樹冠下は草本被覆率が低く,周囲は燃焼していても,調査区内に火が侵入した痕跡はみられなかった.以上から,促進効果のメカニズムとして,先行研究の指摘する乾燥の緩和に加え,火の発生抑制が重要な要因と示唆された.

2017年7月25日

  • モデレータ不在のため、お休みとします。

2017年7月18日 17:30-19:00

発表者:押尾晴樹(国環研)

  • タイトル:GOSATによる植生の太陽光誘起クロロフィル蛍光観測のための輝度オフセット補正
  • 概要:地上植生の光合成能力を推定する方法として衛星による太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)の観測が注目されている。GOSATによる遠赤色域の高分解能スペクトルから、SIFがフラウンホーファー線を埋めた量を導出することで、SIFが求められてきた。その中では、GOSAT分光計の回路の非線形性が観測スペクトルにオフセット値を加えるため、その補正が必須であることが指摘されている。これまでは主に南極(SIF = 0)のデータを用いてオフセットが求められてきた。本研究では、雲や裸地土壌がオフセットの導出に使用できることを確認した上で、オフセットの時空間的特徴を調べた。また、それに基づいた補正を行ってSIFを求め、オフセット補正がGPPの推定などSIFの利用に及ぼす影響を考察した。

2017年7月11日

  • モデレータ不在のため、お休みとします。

2017年7月4日 17:30-19:00

発表者:野田響(国環研)

  • タイトル:ヒノキ林における太陽光誘導クロロフィル蛍光(SIF)in-situ観測について
  • 概要:GOSATやOCO-2,GOME-2など温室効果ガス観測を目的とした衛星センサーの観測データから,陸域植生が光合成により発するクロロフィル蛍光を算出できることが示され,陸域生態系の炭素循環機能の理解と評価において大きな役割を果たすと期待されている。しかし,一方で,SIFの強度と光合成速度との関係や植物生理学的な理解は十分には進んでいない。将来的に,SIFを陸域生態系の炭素吸収量の推定に使うことを目的として植物生理学的な理解を深めるため,京都大学桐生水文試験地(滋賀県大津市)のヒノキ林において,SIFのin-situ観測を開始した。今回のセミナーではSIF in-situ観測システムの紹介と,観測の狙いとともに,データの一部を紹介する。

2017年6月27日 17:30-19:00

発表者:中田貴子(筑波大)

  • タイトル:樹形・葉の形質の変化からみた林冠構成種の若齢期における光環境に対する応答
  • 概要:光は樹木の生存に関わる重要な環境のひとつである。固着性の樹木は様々な光環境に応じる必要があり、実際に、樹形や葉といった形態を変えることが報告されている。このような光環境に対する形態の応答は、特に暗い林床で成長せざるを得ない若齢期の樹木において重要である。本研究では林冠構成種の若齢期における樹形・葉の形質の変化の解明を目的として調査を行った。2016年6~10月に長野県の筑波大学菅平高原実験センターでアカマツ・シラカバ・ミズナラ、信州大学カヤノ平ブナ原生林教育園でブナ、信州大学志賀自然教育園でオオシラビソ、茨城県の筑波大学でアカマツ・コナラを調査した。調査項目は光環境(相対光量子束密度)、樹冠(ボリューム・深度・投影面積)、樹形(重心ずれ:根元から樹冠の重心までの水平距離)、頂部の葉の厚さ(SLA)である。光環境に対する樹冠のボリューム、深さ、投影面積の応答は種間で異なっていた。樹冠に関しては、アカマツは暗い環境でボリュームが小さくなり、コナラとオオシラビソは、ほとんど変化しなかった。一方、シラカバ、ミズナラ、ブナは暗い環境になるとボリュームが大きくなった。ボリュームを深さと投影面積の二要素に分けると、光環境に応じて、それぞれの要素の応答も種ごとに異なることが分かった。ゆえに、種によって光環境に対する樹冠の応答が異なることが示唆された。光環境とSLA、光環境と重心ずれの間には関係が見られなかった。SLAと重心ずれの各種の平均を比較するとどちらも種間で差が見られた。光環境に対する樹冠の応答や樹形・葉の形質の種間の違いが、林内での多種共存に関与している可能性が考えられた。

2017年6月20日 17:30-19:00

発表者:石橋聖也(筑波大)

  • タイトル:高空間分解能衛星データを用いたタイ北東部の土地被覆分類図の作成
  • 概要:衛星データを用いて、タイ北東部のメコン川流域の土地被覆分類図を作成する研究を行っていますので、その進捗について報告をいたします。また、昨年度11月に行ったタイでの現地調査に関しても発表いたします。

2017年6月13日 17:30-19:00

発表者:阿部博哉(国環研)

  • タイトル:低次生態系モデルを用いた汽水域の物質循環の定量化と環境変化に対する応答評価
  • 概要:河川と海洋の境界に位置する汽水域は生産性の高い場所として知られている。本研究では、アマモ場が卓越するとともに二枚貝類の養殖が盛んな北海道東部の汽水湖を対象とし、3次元の流動・低次生態系モデルを用いて汽水湖の低次生産構造を物質循環の観点から明らかにする。また、流域の土地利用形態の変化を想定した河川負荷量の変動や、気候変動による水温上昇、海洋酸性化などに対して汽水湖の生態系がどのような応答を示すかについて評価する。

2017年6月6日

  • モデレータ不在のため、お休みとします。

2017年5月30日 17:30-19:00

発表者:秋津朋子(筑波大)

  • タイトル:eLTERワークショップの報告
  • 概要:2017/5/8〜5/12にローマで開催された,eLTERの「Plant productivity and indexes as a proxy for basic ecosystem features」ワークショップに参加しましたので,その報告をいたします。このワークショップは,(主に)LAIを標準化された方法で観測して,up-scalingまでするデータセットを参加者の全てのサイトで行い,論文化しようという目的で行われました。詳しくは,明日の発表で。

2017年5月23日

  • 「JpGU-AGU joint meeting 2017」と合流
  • JpGU-AGU joint meeting 2017:2017年5月20日(土)〜25日(木)、千葉県千葉市(幕張メッセ)

2017年5月16日 17:30-19:00

発表者:池上真木彦(国環研)

  • タイトル:野外データを用いた種分布モデルの絶滅リスク予測検証
  • 概要:種分布モデルを用いた保全生態学・多様性研究は近年特に増加しており、多くの分類群において分布域の後退と縮小・その結果による地域の種多様性低下が懸念されている。しかしながら種分布モデルの予測妥当性は「実際の分布を予測できるか?」という点の検証に限られ、絶滅予測の妥当性つまり「不適な環境におかれた個体群はどの程度絶滅しやすいのか?絶滅にかかる時間はどの程度なのか?」という点では検証が行われてこなかった。本研究では環境省が公開しているレッドリスト植物の分布現状(絶滅・生存)データを利用し、種分布モデルによる気候好適度と土地利用変化が各地域内(2次メッシュ:10km2)の種絶滅を説明出来るかの検証を行った。解析の結果、各メッシュにおける種絶滅確率は都市化率とは正の、気候好適度とは負の統計的に有意な相関があるがモデルの説明力は限られる事が示された。本研究の結果は種分布モデルの絶滅予測には一定の妥当性があるものの、種の絶滅可能性が過剰に見積もられる傾向がある事を示唆しており、種分布モデルによる絶滅・多様性評価には実データを用いた検証と慎重な解釈が重要である事を示している。

2017年5月9日 17:30-19:00

発表者:井手玲子(国環研)

  • タイトル:立山室堂と千畳敷における消雪時期と高山植生の展葉・紅葉フェノロジーの年変動
  • 概要:極めて寒冷な環境条件にある高山生態系では、地球温暖化により高山植物の展葉、開花、紅葉、落葉などの生物季節(フェノロジー)や分布域の変化が各地で報告されるなど、気候変動に対する生態系の脆弱性が危惧され、モニタリングの重要性が認識されている。そこで国立環境研究所では、2011年から定点カメラ観測による高山生態系のモニタリングを行ってきた。本研究では立山室堂(標高約2450m)と中央アルプス千畳敷(約2650m)に設置した定点カメラ画像を用いて、RGB三原色のデジタルカウント値を使った解析により、最近数年間の消雪時期と植生の展葉・紅葉フェノロジーを個体スケールで把握した。さらに、気象データを用いて、フェノロジーや紅葉の色付きの年変動と気象要因との関係を調べた。2016年春は例年と比較して消雪が約1ヶ月も早い特異的な年であった。それに伴って展葉も非常に早く、生育期間は最長になった。また、秋の気温が高く、紅葉の名所である千畳敷では紅葉しないで枯れる個体が多く見られた。紅葉時期は例年のように秋の平均気温との相関だけでは説明できず、展葉時期も考慮することが必要と考えられた。このような定点カメラを用いた長期的な観測と気象データを合わせた解析により、気候変動による消雪時期や植生フェノロジーへの影響評価と将来予測が期待される。

2017年4月18日 17:30-19:00

発表者:小出大(国環研)

  • タイトル:更新適地モデリングを用いたブナの小氷期レリック説の検証
  • 概要:既存の種分布モデリングでは、種分布の在・不在をもとに統計的な手法を用いて種の分布を予測している。しかし、樹木においてはしばしばサイズによって分布が若干異なることが報告されている。そのため更新適地を適切に予測する為には、サイズによる分布の違いを考慮した分布モデリングが必要である。日本の冷温帯を代表するブナは、積雪傾度に沿って更新の可否が異なる。雪の少ない太平洋側では更新が難しいが、太平洋側でも高木サイズのブナが分布している。これに対し、小泉(1988)は14〜19世紀の寒冷な小氷期の時代に太平洋側でもブナが更新し、現在の高木サイズの個体はこの時代に更新した個体群の生き残り(レリック)であると定性的に考察している。本発表では、ブナにおいてサイズを考慮した分布モデルを構築し、過去の更新適域を推定することにより、小氷期レリック説を定量的に検証した研究を紹介する。

2017年4月11日 17:30-19:00

発表者:ハブラー(国環研)

  • タイトル:UAV搭載のRedEdgeカメラを用いた農産物のマッピング
  • 概要: Micasense社のRedEdgeカメラを用いて、農場の空撮を行った。このカメラは、R、G、B、NIR、RedEdgなど5バンドで撮影することでき、地上分解能は120m高度で約8cm。RedEdgeは植物に含まれるクロロフィルによってほとんど吸収される赤バンドとほとんど吸収しない近赤外バンドの間の波長である。今回の実験では植物の種類または個体差を検出することが目的である。

2017年4月4日 17:30-19:00

発表者:奈佐原 顕郎(筑波大)

  • タイトル:JAXA生態系研究グループの活動状況
  • 概要:JAXA/EORCの生態系研究グループは, 光合成有効放射量(PAR)の研究と、土地被覆研究に焦点をあてて、活動を続けている。これらの現状と近い将来の計画について述べる。また, 今年打ち上げ予定の, GCOM-C衛星による生態系研究に関しても, 我々のグループの活動状況を述べる。

2017年3月28日

  • 「日本森林学会」、「日本農業気象学会」、「日本地理学会」と合流
  • 日本森林学会:2017年3月26日(日)〜29日(水)、鹿児島県鹿児島市(鹿児島大学)
  • 日本農業気象学会:2017年3月27日(月)〜30日(木)、青森県十和田市(北里大学)
  • 日本地理学会:2017年3月28日(火)〜30日(木)、茨城県つくば市(筑波大学)

2017年3月21日 17:30-19:00

発表者:秋津 朋子(筑波大)

  • タイトル:信頼性の高い長期安定した光合成有効放射 (PAR) の観測方法
  • 概要:今回は,このトラノアナで,問題点をひとつひとつつぶしていきながら,ついにAgricultural and Forest Meteorologyで出版された内容を発表いたします。

 光合成有効放射 (PAR) は,光合成にとって必要な量である。しかしながら,一般にPAR観測に用いられている光量子センサは,スペクトルエラー,コサインエラー,長期的な感度変化などの問題があることが知られている。そこで,まず,光量子センサのこのような問題を可能な限り削減した高精度なPAR観測方法,すなわち,分光放射計を用いて直達光と散乱光を別々に測定する観測方法を開発した。このPAR観測方法は高精度ではあるが,多地点での長期観測には不向きである。多地点での信頼性の高いPAR観測のために,9種類の(市販および改良を加えた)光量子センサを用いて,上述の高精度PAR観測システムにより得られたPAR値を基準(基準PAR値)として,これらの問題点における性能評価を行った。様々な自然光の下でのスペクトルエラーは,各光量子センサのスペクトル応答と日射スペクトル分布を 用いたシミュレーションを行い基準PAR値との比較をした。様々な天空条件におけるコサインエラーは,各光量子センサのスペクトル応答とコサイン特性を用いてシミュレーションをした。長期的な感度変化は,野外での観測によって評価した。さらに,従来から行われている光量子センサの性能評価方法「ある光量子センサを基準とした他の光量子センサの性能評価」を行うと,どのように誤評価されるかをシミュレーションした。

2017年3月14日

  • 「第64回日本生態学会大会」と合流
  • 2017年3月14日(火)〜18日(土)、東京都早稲田(早稲田大学)

2017年3月7日 17:30-19:00

発表者:小林 慶子(国環研)

  • タイトル:耕作放棄地のタンチョウ営巣地としての利用可能性
  • 概要:人口減少社会に突入した日本では、急激な人口減少によって放棄・未利用地が増加し、国土の荒廃が進むことが懸念されている。しかし、人口減少によって人間の開発圧から解放される土地を適切に管理し、生物の生息地として再生することができれば、過去の開発によって劣化した生態系を回復させられる可能性がある。本研究では、過去の農地開発で主要な営巣地である湿原が消失したタンチョウを指標に、放棄・未利用農地のタンチョウの営巣地としての利用可能性を検討した。その結果、放棄・未利用農地に湿地を再生することにより、タンチョウの営巣地が拡大する可能性が示された。ただし、放棄農地を利用しただけでは微増するのみであることから、より効果的な営巣地の拡大を目指す場合は、放棄地を利用するだけでなく、現役農地を含め、より積極的に湿地を再生する計画を立てる必要があると考えられた。

2017年2月28日 15:00-16:30

発表者:今田 由紀子(気象研)

  • タイトル:高解像度MRI-AGCMアンサンブル実験を用いた異常気象の要因分析
  • 概要:高解像度全球大気モデルMRI-AGCM(水平解像度約60km、鉛直64層)を用いて実施された60年×100メンバーのタイムスライス実験「地球温暖化施策決定に資する気候再現・予測実験データベース(d4PDF)」の過去再現実験(観測ベースの境界条件)及び非温暖化実験(境界条件から人為起源の影響を除去)を用いて、過去に発生した特定の異常天候に人為起源の温暖化や自然変動がどの程度寄与していたかを切り分ける試み(イベント・アトリビューション)を行った例を紹介する。一例として、日本域の10年規模の気温変動に関する要因分析を取り上げる。

2017年2月21日 17:30-19:00

発表者:保科優(国環研)

  • タイトル:酸素・二酸化炭素濃度比による大気CO2濃度変動成分の起源推定法の開発
  • 概要:都市部や大陸、その周辺部で観測される大気中の二酸化炭素(CO2)濃度には数時間〜数日といった比較的短期間の変動がしばしば観測される。このような変動の主な原因は生物圏や化石燃料燃焼から発生するCO2の直接の影響と考えられる。観測されるCO2濃度変動に対するそれぞれの発生源からの寄与率が評価できれば、炭素循環の解明のみならず排出・吸収量の時空間分布を定量評価の高精度化に資すると期待される。化石燃料の燃焼時、O2が消費されCO2が排出される割合(-O2/CO2交換比)は化石燃料の元素組成によって1〜2の間の値をとり、日本の平均的な化石燃焼の-O2/CO2比は1.4以上である。一方、生物圏起源の-O2/CO2比は1.1と化石燃料起源より小さいことに着目し、大気中のO2およびCO2濃度の連続観測から求められる変動比(-ΔO2/ΔCO2)に基づく化石燃料起源と生物起源の分離手法の検討を行っている。本発表では、2015年2月からのつくばにおけるO2濃度、CO2濃度の観測結果より、短時間のCO2濃度変動に対する化石燃料の寄与率の推定を紹介する。

2017年2月14日 17:30-19:00

発表者:岡本芽生(千葉大)

  • タイトル:森林の三次元点群データを用いた波形記録方式LiDARデータの再現に関する研究
  • 概要:森林の二酸化炭素収支量を推定するためには森林バイオマスが重要な要素となる。森林バイオマスの推定のためには、林冠の高さ情報を計測することが有用であり、全球スケールでの林冠高の計測をするために衛星リモートセンシング技術が活用されている。2003~2009年にかけて人工衛星ICESat搭載LiDARであるGLASによる観測が行われた。また、JAXAがISSきぼう暴露部搭載植生LiDAR MOLIの打ち上げを計画中である。GLASのようにフットプリント径の大きい波形記録方式のLiDARからはフットプリン内に存在する全物体から検出される反射強度を検出時間ごとに記録した波形データが取得できる。しかし、フットプリントが大きいために、地盤面傾斜が波形の形状に平地観測とは異なる影響を与え、正確な林冠高の推定を困難にしている。今後GLASデータの利用や新たな衛星LiDARによる観測を行うにあたって、波形記録方式LiDARが取得した波形データが観測域の森林構造をどのように反映して表されたものであるかを検討することが必要である。既知の森林構造から波形記録方式LiDARの波形データを再現する手法を開発することは、波形記録方式LiDARが取得した波形データから観測域の森林構造を正しく把握する上で重要である。本研究では、波形記録方式LiDARが取得したのと同様な波形データを、比較的安価かつ容易に計測可能な地球上観測によって取得した点群データを用いて再現する手法を提案する。また、再現した波形と実際にGLASなどの波形記録方式LiDARが取得した波形データとを比較することで提案手法の有効性と課題を示した。

2017年2月7日 17:30-19:00

発表者:神 慶孝(国環研)

  • タイトル:大気エアロゾルのプロファイル観測を目的とした雲底計(シーロメータ)の校正手法の検討
  • 概要:シーロメータは主に空港などに設置され、雲底高度の測定に使用されている。測定原理はレーザーレーダ(ライダ)と同じであるため、後方散乱信号の鉛直プロファイルを測定できる。近年、シーロメータのエアロゾル観測への応用が期待されている。安価で操作も平易であるシーロメータは、グローバルなエアロゾル観測網を構築できる可能性がある。シーロメータによるエアロゾルプロファイル測定では、予め近距離で後方散乱係数が測定できるように装置定数を校正する。校正済みの信号について減衰補正を行うこと消散係数プロファイルを導出する。この場合には、装置定数の校正が非常に重要である。装置定数の校正は、ライダ(たとえば波長532nm)で測定した近距離の後方散乱係数をシーロメータの波長に換算して比較することによって得られる。この手法を用いてCL51(Vaisala社)の信号を校正した。また、別の手法として、水雲の信号を利用したCHM15k(Lufft社)の校正について検討したので報告する。

2017年1月31日 17:30-19:00

発表者:川瀬宏明(気象研)

  • タイトル:中部山岳域の積雪の現状把握と将来予測
  • 概要:冬季、中部山岳域には多量の雪が降り、特に北アルプスは世界でも有数の豪雪地帯となる。山岳域の降雪や積雪は観測することが難しく、降雪量や積雪分布、それらの年々変動などはよく分かっていない。山岳域の積雪は雪崩などの災害的側面を持つ一方、雪ダムとしての水資源、スキーや観光資源としても重要である。近年地球温暖化の進行により、世界的に積雪の減少が指摘されている。積雪の有無は陸面状態を大きく変えるため、温暖化による積雪減少は地表付近の大気に大きな影響を与え、温暖化を加速させると言われている(アイス−アルベドフィードバック)。このまま地球温暖化が進むと、さらになる降雪や積雪の減少が懸念される。今回の発表では、山岳域の積雪の現状を把握するために立山カルデラ砂防博物館と協力して行っている、立山黒部アルペンルート沿いの積雪観測、衛星から捉えた積雪被覆情報を基にした日本の雪被覆の年々変動、そして地球温暖化による中部山岳域の降積雪の将来変化予測についてお話しする。

2017年1月24日 17:30-19:00

発表者:佐久間東陽(茨城大)

  • タイトル:Landsat-8 OLI地表面反射率プロダクトを用いた未利用農地を含む農地分類手法の精度評価
  • 概要:

 北海道釧路川流域では,主に牧草地からなる未利用農地が増加しつつある。未利用農地の有効活用を検討するためには,利用されている農地と未利用農地の空間分布地図が必要となる。衛星リモートセンシングは未利用農地の分布を把握する有効な方法の一つである。未利用農地判別の国内既往研究では,主に水田からなる未利用農地の判別を扱っており,牧草地からなる未利用農地の分類に関しては研究事例が少ない。
 本研究では,北海道の釧路湿原集水域における将来的な未利用農地の有効活用を検討するために,未利用農地の空間分布と詳細な未利用農地率を把握することを目的としている。具体的には,1) 北海道鶴居村において多時期のLandsat-8 OLI地表面反射率プロダクトを用い,農地における植物フェノロジーと分光反射特性を基に,未利用農地抽出のための分類最適時期を特定する。2) 2つの分類手法(最尤法,Random Forest)について多時期の分類データに対する分類精度評価を行う。3) 最も精度の高い分類手法を用いて釧路湿原集水域における未利用農地を含む農地分類を行い,空間分解能150 m毎の未利用農地率を算出し空間分布図を作成する。
 北海道鶴居村を対象に分類精度を検証した結果,収穫期直前および収穫期直後のBand1から7のデータおよびNDVIデータの分類データセットを使用し,Random Forestで分類した条件が最高の分類精度となった。解析対象領域を鶴居村から釧路湿原集水域に拡大した際,分類精度が低下した。特に森林の分類精度が大幅に低下し,未利用農地や牧草地との誤分類を引き起こしていた。これは,対象領域拡大の結果,気候条件や作物品種による農事暦のばらつきが大きくなり,クラス間で反射特性が類似してしまった可能性が考察できた。従ってより高い精度の農地分類図を作成するためには,市町村単位等,農事暦のばらつきを少量に抑えた空間範囲で分類する必要があると考えられる。

2017年1月17日 17:30-19:00

発表者:濱 侃(千葉大)

  • タイトル:UAVリモートセンシングによる水稲の生育パラメータ推定および収量

推定

  • 概要:

UAVリモートセンシングによる農作物観測は,精密農業に基づく環境負荷の軽減,作物の収量と質の向上に関わる重要な課題である。リモートセンシング技術を用いた水稲の生育,収量推定に関する研究は,光学衛星を使用した研究の報告が多く,各バンドの輝度値,植生指数を説明変数に使用した回帰モデルによって推定を行うものが多い。これらの研究で導出された推定モデルの中で,バイオマスやLeaf Area Index (LAI),群落クロロフィル量の推定モデルでは他年次,他地域へ同一の推定モデルが適用可能と報告されている。しかし,収量予測モデルについては,基本的には他の地域に適用することはできず,対象地域に依存せず適用可能な推定モデルの構築が課題となっている。そこで,本研究の目的は,UAVリモートセンシングおよび日射量に基づく,他年次,他地域に適用可能であり,尚且つ,シンプルな水稲の草丈推定モデルおよび収量推定モデルとそのアルゴリズムの導出である。解析には,3地域(千葉県,新潟県,埼玉県),3品種(コシヒカリ,ふさおとめ,ふさこがね)を対象としたUAV観測データとAqua/MODIS衛星から推定されたPAR(JAXA提供)および1kmメッシュ農業気象データの全天日射量を使用した。
本研究の結論は,以下の通りである。(1)草丈推定においては,NDVIpv,GNDVIを説明変数に使用した草丈推定モデルの推定精度が高く,他年次,他地域にも適用可能であった。(2)生育初期から幼穂形成期までは草丈および茎数の増加,幼穂形成期から出穂期までは草丈の増加,出穂期から成熟期まではSPAD 値(葉色)の減少が,NDVIpvの時系列変化に影響していることが示された。(3)日射量に使用するデータの期間を検討した結果,品種差があった。コシヒカリでは出穂期から20日間,ふさおとめ,ふさこがねでは出穂期から30日間が収量と最も相関があった。(4)収量推定モデルを,他年次,他地域に適用した結果,PARを用いた推定モデルのRMSEは46.5g/m²,全天日射量を用いた推定モデルのRMSEは23.1g/m²となった。全天日射量を用いたモデルの推定精度はPARを用いた推定モデルよりも高かった。
本研究で導出された推定モデルは,水稲の生育ステージに合わせて,特定の時期の植生指数と日射量のみを使用したシンプルなモデルである。加えて,植生指数は,反射率変換を行わずに算出したものだが,他年次,他地域で適用することができた。これは,今後の実利用を考えた時,簡易な手法で運用することが可能で,迅速かつある程度の精度を確保できる点で優位性がある。

2017年1月10日 17:30-19:00

発表者:胡暁星(筑波大)

  • タイトル:乾燥年の乾草原における降雨前後Stipa krylovii とAllium polyrhizumの個体レベルで炭素交換特性の比較
  • 概要:

本研究が対象とするStipa kryloviiとAllium polyrhizumは、フルンボイル草原をはじめとする乾草原の主要構成種であり、後者は、過放牧地において優占する。また、講演者らが行ってきた2012年からの推定バイオマスに関する観測データでは、S. kryloviiとA. polyrhizumは夏期の降水量に対する反応に大きな差が見られた。このように両種は対照的かつ草原生態系の重要な種である。従って、両種の生態的特性や生理的特性を比較することは、過放牧や気候変動が草原生態系に与える影響を予測する上で有効な情報となる。なお、2014年における両種の光合成データをみると、強光かつ高温の条件下では、A. polyrhizumの方がより高いCO2吸収フラックスを保持していることが示唆された。しかし、乾燥地に生育する植物の光合成特性を理解するには、制限要因となっている水が不足した乾燥年に関する知見が必要である。そこで本研究では、乾燥年であった2015年のS. kryloviiとA. polyrhizumを対象として、両種の個体レベルでの炭素吸収に対する光応答性および温度応答性に関する知見を得ること、ならびに乾燥年における一時的な降雨が与える影響を比較することを目的とした。
方法
調査地は中国内モンゴル自治区フルンボイル市の新バルグ右旗における蘭旗庙家庭牧場(中放牧区)とした。7月25日に大雨が降ったため、調査は、7月21-24日(雨前)と7月26−27(雨後)二期間で、行った。炭素吸収特性の測定は、Hirota.et.al (2006) のチャンバー法に従って行った。この方法では、光を透過するチャンバー内の植物体全体と土壌の炭素吸収特性を現場の生育状態(葉の角度等)のまま把握することができる。個体サイズの異なるStipa kryloviiとAllium polyrhizum を5個体ずつ調査対象個体として選定した。雨前後を含め、計20個体測定した。選定に際しては、容量22.4ℓのチャンバー内に他種が混在しないようにすることで、個体レベル(株レベル)での炭素吸収特性を把握できるようにした。炭素吸収量(変化量)は、時間あたりのチャンバー内のCO2濃度の変化を記録することで求めた。光合成の光応答特性を把握するため、寒冷紗と遮光シートを使い、暗状態を含む5段階の光強度を設定した。CO2濃度と光合成有効光量子束密度の他、チャンバー内温湿度、地表温度、地下5cm温度、光強度を同時に測定した。チャンバー内の気温、チャンバー容積、CO2濃度の変化量等から、CO2交換速度を算出した。また、暗状態の測定値から生態系呼吸速度を求め、GPP(総生産速度)などを算出した。さらに得られた値を測定個体の地上部バイオマスで除することで、バイオマス当たりのGPPなどを求めた。
結果および考察
降雨前については、両種ともNEP(面積当たり)は低く、特に、A. polyrhizumはほぼ全てがマイナスの値となった。温度の影響を一定にするため、40度をしきい値として比較すると、40度以下では、S. kryloviiのNEPの値はA. polyrhizumより高くなった。次に、雨前後で比較すると、両種のNEPは雨後、むしろ低くなった。これは、呼吸量(暗状態のCO2交換速度)が増加したことによる。また、 バイオマス当たりのGPPについて比較すると、降雨前については、両種間で、光強度とGPPの関係に相違はなかった。一方、降雨後はA. polyrhizumの方が、明らかにGPPの値が高くなった。このことは、A. polyrhizumの方が雨に対する反応が早く、高い光合成活性、呼吸活性を発揮できることを示している。 以上のように干ばつ年における両種の光合成特性の応答は雨に対する変化し、その変化様式は種間で異なることが示された。このょうな相違は両種の共存やバイオマスの年変動様式の相違と関係していると考えられる。

Last modified:2017/09/25 16:18:07
Keyword(s):
References:[リモセン虎の穴]